
地方の中小ホテルや企業・団体が所有する保養所を運営しているオーナー様や担当者様の多くは、日々の運営に頭を悩ませているのではないでしょうか。
観光需要は回復傾向にあるものの、都市部や大手チェーンが積極的に投資を進める一方で、地方の宿泊施設は人材不足や資金不足に直面し、集客競争で不利な立場に置かれるケースが目立ちます。
例えば、「閑散期の稼働率が極端に低い」「修繕やリニューアルに投資する余力がない」「人材が定着せず教育コストばかりかかる」といった課題は、多くの中小規模施設で共通しています。また、販促手段の中心がOTAやSNSへとシフトした現代では、従来の“待ちの営業”だけでは顧客を引き寄せられません。マーケティング担当者を専任で配置できない施設では、デジタル集客の波に乗り遅れ、ますます競争力を失っていく危険性があります。
こうした状況を打開するために注目されているのが「運営委託」という選択肢です。運営のプロに業務を任せることで、オーナー様は日々の細かなマネジメントから解放され、施設全体の価値を高めるための戦略に集中できます。
本記事では、まず中小ホテルや保養所が直面する典型的な課題を整理し、その課題がなぜ直営方式や賃貸方式では解決できないのかを明らかにします。その上で、運営委託の強みや当社の実績をご紹介し、経営改善につながる具体的なヒントをお伝えしていきます。
《目 次》

- 中小ホテルが直面する典型的な経営課題
1-①集客・人材・コストに共通する悩み
1-②マーケティングや戦略ノウハウの不足 - 直営方式では解決できない課題とは
2-①全責任を抱えるリスク
2-②専門知識・人材不足の限界 - 賃貸契約に依存するリスクと限界
3-①安定性はあるが発展性に乏しい
3-②施設価値の維持・向上が難しい - 運営委託で得られる安定収益と経営改善
4-①集客戦略と人材管理を任せられる安心感
4-②ブランド価値を高める継続的改善 - 当社のノウハウが支える施設運営の強み
5-①多様な施設で培った実績
5-②長期的に信頼される理由 - まとめ:持続可能な経営のために運営委託を検討してみませんか?
1. 中小ホテルが直面する典型的な経営課題

1-①集客・人材・コストに共通する悩み
中小ホテルの最大の悩みは、稼働率の不安定さです。繁忙期は稼働率が高くても、閑散期には客室の多くが空室となり、年間を通じた収益が安定しません。特に地方では都市圏からのアクセスに課題があり、観光資源が豊富でも集客に直結しないケースが多くあります。
さらに深刻なのが人材不足です。地方では若い人材の流出が進み、宿泊業界は敬遠されやすい傾向があります。そのため、フロントや調理スタッフが慢性的に不足し、既存の従業員に過剰な負担がかかります。結果としてサービス品質が低下し、リピーター獲得にも悪影響を与えます。また、設備の維持・修繕費も重荷となります。築年数が経過した建物は定期的な改修や更新が不可欠ですが、その費用を確保する余力がない施設も少なくありません。例えば、エアコンや給湯設備の交換だけでも数百万円単位の出費が必要となり、経営を圧迫します。
1-②マーケティングや戦略ノウハウの不足
集客の課題をさらに悪化させているのが、マーケティング知識や戦略ノウハウの不足です。大手チェーンはデータ分析やSNS広告を駆使して効果的に顧客を呼び込んでいますが、中小施設ではそうした体制を整えることが困難です。
「OTAに掲載しているが、効果的なプラン作成やレビュー管理ができない」「SNSアカウントはあるが更新が止まっている」といった状況は珍しくありません。その結果、せっかくの潜在顧客にアプローチできず、競合施設に流れてしまいます。また、施設の特色を打ち出す戦略が弱いため、価格競争に陥りやすいのも問題です。「安さ」で勝負すると利益率が低下し、サービスや設備への投資がさらに難しくなるという悪循環に陥ってしまいます。
2. 直営方式では解決できない課題とは
地方の中小ホテルや保養所を経営するオーナー様の中には、「やはり直営が一番安心だ」と考える方も少なくありません。自らが経営の全権を握り、意思決定を行える自由度は大きな魅力です。しかし、現代の宿泊業界においては、その直営方式がむしろ経営の重荷となり、さまざまな限界を生むケースが増えています。ここでは、その代表的な課題を2つの視点から掘り下げます。

2-①全責任を抱えるリスク
直営方式では、経営の自由度と引き換えにすべてのリスクをオーナーが単独で背負うことになります。例えば、稼働率が急落した場合、損失はそのままオーナーの資金繰りを直撃します。
観光需要は天候や社会情勢に大きく左右されるため、想定外の外部要因によって稼働率が落ち込むことは珍しくありません。特に地方の中小施設は、都市圏に比べてインバウンド需要の恩恵を受けにくく、景気変動の影響をダイレクトに受けます。また、突発的な設備故障やクレーム対応といったトラブルもすべてオーナーの責任となり、その解決に追われる日々が続くと、経営判断を行う時間が奪われてしまいます。
本来、オーナーは「施設の方向性」や「長期戦略」に集中すべき立場ですが、直営方式では雑務や現場対応に多大な時間を割かざるを得ない現実があります。
2-②専門知識・人材不足の限界
もう一つの大きな課題は、専門的な知識や人材を揃えることの難しさです。ホテル経営には収益管理(レベニューマネジメント)、マーケティング戦略、人材マネジメント、ITシステムの活用など、多岐にわたるスキルが必要です。しかし、中小規模の施設でそれらすべてを高いレベルで担える人材を確保するのは非常に困難です。
実際に、地方の宿泊施設では「ベテラン支配人の引退後、後継者が見つからない」「マーケティング担当を兼任しているが、本職は経理や総務」といったケースが多く見られます。その結果、戦略的な改善に取り組めず、施設運営は惰性的に続いてしまうのです。
また、人材不足はサービス品質にも直結します。スタッフが足りないために客室清掃の質が低下したり、接客に余裕がなくなったりすると、口コミや評価サイトでの評判が落ち、さらなる集客難へとつながります。
つまり直営方式では、「人材もノウハウも足りないのに、責任だけは全て自分が負う」という構造的な問題から逃れられません。これが、オーナー様の精神的・肉体的負担を大きくし、経営の持続可能性を脅かしているのです。
3. 賃貸契約に依存するリスクと限界
宿泊施設の経営方式の一つに「賃貸方式」があります。これは、オーナーが自ら運営せず、第三者に施設を貸し出して家賃収入を得る形態です。一見すると「リスクが少なく、安定収入が得られる」ように思えますが、実際には大きな限界や落とし穴があります。ここでは、賃貸方式の持つ代表的なリスクを解説します。
3-①安定性はあるが発展性に乏しい
賃貸方式の最大の魅力は、一定額の家賃収入が見込める安定性です。運営の成否に関わらず、契約内容に基づいて収益が得られるため、表面的には「リスクが少ない経営方法」と見えます。特に資金的に余裕がなく、運営に関与したくないオーナーにとっては、魅力的に映る選択肢かもしれません。
しかし、この方式には大きな限界があります。それは、施設が成長しても、その成果がオーナーには還元されないという点です。例えば、借り手の運営努力によって稼働率が上がり、売上が飛躍的に伸びたとしても、オーナーが得られるのは契約で定めた一定額の家賃のみ。結果として「資産を持っているのに、その資産の潜在的な価値を十分に活かせない」状況に陥ります。
さらに、賃貸契約の更新時に借り手が撤退を決めれば、施設は空き物件となり、新たな借り手を探す必要が生じます。ホテルや保養所といった特殊な用途の建物は、テナントを見つけるのが容易ではなく、空白期間が長引くほど資産価値は低下してしまいます。

3-②施設価値の維持・向上が難しい
もう一つの大きな問題は、施設の長期的な価値を守る視点が希薄になりやすいことです。借り手の運営者にとって、施設は「一時的に利用する場所」に過ぎません。契約期間中に利益を最大化することが最優先となり、建物や設備の中長期的な維持・改修は後回しにされる傾向があります。
その結果、契約が終了した時点でオーナーの手元に戻ってくる施設は、老朽化が進み、集客力を大きく失った状態であることも少なくありません。再投資をしない限り新しい借り手も付きにくく、結果としてオーナー自身が多額の改修費用を負担することになります。実際に、「契約期間中は安定して収入を得られていたが、終了後に施設の修繕やリニューアルが必要になり、予想以上のコストが発生した」という声は多く聞かれます。賃貸方式は一時的な安定を得られる反面、長期的な資産価値の維持・向上が難しいという根本的な問題を抱えているのです。
4. 運営委託で得られる安定収益と経営改善
直営方式ではリスクが大きく、賃貸方式では発展性が乏しい──。こうした現実を踏まえると、第三の選択肢として「運営委託」が浮かび上がります。運営委託は、オーナー様が施設を所有したまま、専門の運営会社に日々の運営を任せる仕組みです。この方式は「責任を適度に分担しつつ、専門知識を活用できる」というバランスの良さから、近年ますます注目を集めています。ここでは、運営委託がもたらす具体的なメリットを見ていきましょう。
4-①集客戦略と人材管理を任せられる安心感

運営委託の大きな強みは、集客と人材管理をプロに任せられる点です。地方の中小ホテルにとって、最も難しいのは「顧客を安定的に呼び込む仕組み」と「人材を採用・育成・定着させる仕組み」を同時に整えることです。
運営会社は、OTA(オンライン旅行代理店)のアルゴリズムやSNS広告の特性を理解しており、季節や地域イベントに合わせて効果的なプランを打ち出します。例えば「夏休みの家族旅行向けプラン」「平日限定のワーケーションプラン」などを柔軟に組み合わせることで、稼働率の谷を埋める工夫をします。こうした戦略は、データと経験を積み重ねた運営のプロだからこそ可能なのです。
また、人材面では、採用から研修、シフト管理までを一括して対応できる体制を持っています。地方での採用難を補うために、広域的なネットワークを活用して人材を確保し、さらに教育研修プログラムを通じて一定水準の接客品質を保証します。オーナー様が頭を悩ませていた「人が集まらない」「育たない」という課題から解放され、経営判断に集中できるのです。
4-②ブランド価値を高める継続的改善
運営委託のもう一つの魅力は、施設のブランド価値を長期的に高めていける点です。短期的な収益だけでなく、顧客満足度を意識した改善を積み重ねることで、施設全体の価値を高めることができます。
具体的には、定期的に顧客アンケートを収集・分析し、サービスや設備改善に反映させます。例えば「朝食の選択肢を増やしてほしい」という声が多ければメニューを見直し、「Wi-Fi環境が弱い」との意見があれば回線を強化する。こうした細かな改善の積み重ねが「また泊まりたい」というリピーターの増加につながります。
さらに、地域と連携したイベントや体験プログラムを企画することもあります。地元の特産品を使った料理フェアや、地域の祭りと連動した宿泊プランなどを打ち出すことで、「地域とともに成長する施設」というブランドを築けます。こうした取り組みは、単なる宿泊の場を超えた体験価値を提供し、口コミやSNSでの拡散を通じて新たな顧客獲得にも結びつきます。
運営委託によって施設の価値が高まれば、資産価値そのものの維持・向上にもつながります。長期的に見れば、これはオーナー様にとって大きな安心材料となり、経営の安定を支える土台となるのです。
5. 当社のノウハウが支える施設運営の強み


ここまで「直営方式」「賃貸方式」の課題と限界、そして「運営委託方式」のメリットを見てきました。では実際に、数ある運営会社の中で、当社(株式会社エムアンドエムサービス)がどのような強みを持ち、オーナー様から選ばれ続けているのかを掘り下げてご紹介します。
5-①多様な施設で培った実績
当社は30年以上にわたり、ホテル・旅館・リゾート施設から、企業や団体が所有する福利厚生施設や自治体の公共宿泊施設まで、幅広いタイプの施設を運営してきました。この多様な経験こそが、当社の最大の強みです。
例えば、リゾート型ホテルでは「観光需要に合わせた繁忙期・閑散期の稼働調整」を行い、企業の保養所では「利用率向上と福利厚生機能の両立」を重視する、といったように、施設の性格に応じて最適な運営方針を導き出してきました。
また、規模の大小を問わず対応できるのも特徴です。数室規模の小さな保養所から、数十室を超える中・大型ホテルまで、現場の実態に合わせた運営体制を構築してきました。そのため、オーナー様がどのような課題を抱えていても、過去のノウハウを応用した解決策を提案することが可能です。
この「多様な実績の積み重ね」が、オーナー様にとって安心して任せられる要因の一つになっています。
5-②長期的に信頼される理由
もう一つの大きな特徴は、長期契約が非常に多いことです。当社に運営を委託いただいている施設の中には、10年、20年といった長期間にわたり継続してお任せいただいているケースが多数あります。これは「任せて安心できる」という信頼がなければ実現しません。
長期的な信頼を支えているのは、単なる運営代行ではなく「施設価値を一緒に育てるパートナー」という姿勢です。定期的な改善提案や現場からのフィードバックをオーナー様と共有し、将来を見据えた運営方針を共に考えることで、オーナー様の意向と現場の最適化をバランス良く両立させています。
また、この積み重ねが評価され、当社では一部の施設を直営施設としてリブランドするに至りました。2024年には「里創人倶楽部 伊勢志摩」が直営施設に加わり、現在は4施設を直営しています。これは「運営委託の枠を超えて、自社の資産として育てたい」と判断するだけの手応えを持てた証です。
このように、長期にわたる信頼と成果の蓄積が、オーナー様から選ばれ続ける理由であり、当社の大きな強みとなっています。
6. まとめ:持続可能な経営のために運営委託を検討してみませんか?
ここまで、中小ホテルや福利厚生施設が抱える経営課題を整理し、直営方式や賃貸方式の限界を見てきました。そして、第三の選択肢としての「運営委託」が、いかにオーナー様の負担を軽減し、安定収益と施設価値の向上を実現できるかを解説しました。
地方の宿泊施設を取り巻く環境は、人口減少、旅行スタイルの多様化、人材不足、設備老朽化といった要因によって、今後さらに厳しさを増していくことが予想されます。こうした中で「従来の延長線上の経営」だけに頼るのはリスクが高く、戦略的な視点を持った新しい運営モデルが必要不可欠です。
運営委託は、単なる「外部委託」ではありません。プロの知見を取り入れることで、
- 集客力を高め、閑散期でも稼働率を安定させる
- 人材の採用・教育・定着を仕組み化する
- サービス品質を磨き、リピーターを増やす
- 資産価値を維持・向上させ、長期的に利益を守る
といった多方面での改善が可能になります。
当社(株式会社エムアンドエムサービス)は、30年以上にわたる実績を持ち、多様な施設の運営を通じてノウハウを培ってきました。長期的に信頼され続けているのは、単に業務を代行するのではなく、「施設の未来を共に考えるパートナー」であり続けてきたからです。
もし今、経営の不安や課題を抱えているのであれば、それは「運営モデルを見直すべきサイン」かもしれません。直営や賃貸方式の限界を理解した上で、運営委託という選択肢を真剣に検討することが、持続可能な経営を実現する第一歩になります。
経営の悩みを一人で抱え込む必要はありません。信頼できるパートナーと共に、施設の未来を築いていくことができます。ぜひ一度、当社にご相談いただき、運営委託の可能性を確かめてみてください。