
東海・北陸エリアを旅していると、海と山が近く、町ごとに雰囲気が驚くほど変わることに気づきます。名古屋の活気ある市街地から、静岡の海沿いの街並み、飛騨高山の古い町並み、能登の静かな漁港、福井の落ち着いた城下町、そして立山連峰のふもとへ──。景色が変わるたびに、食の姿も大きく変わります。
本シリーズの第1弾から第4弾までは、関東・甲信越、近畿、北海道・東北、九州・沖縄と順に“地域性 × B級グルメの奥深さ”を辿ってきましたが、今回の東海・北陸編は、そのどれよりも地域差の振れ幅が大きいエリア。一つの県の中でさえ「海と山」「都市と田園」で味の文化がガラッと変わるのが最大の魅力です。
そして、このエリアのB級グルメは“派手ではないのにクセになる”ものが多いのも特徴です。濃厚なのにクドくない名古屋めし、素朴だけど奥行きのある静岡のローカルフード、香りで勝負する飛騨や北陸の料理、そしてインパクト大の富山ブラック──。
旅を進めるごとに、自分の中で“また食べたい一皿”がどんどん増えていくはずです。
本記事では、そんな東海・北陸7県から、『旅好きが本気で選びたい“B級グルメの傑作10選”』を厳選して紹介します。
これまでの第1~4弾に続き、今回も“旅の途中で食べやすいか”“観光動線と相性が良いか”“その土地らしさを感じられるか”を軸に、現地で本当に人気のある名物だけを選びました。旅先での食事は、ただ“お腹を満たす”だけではありません。
その土地の空気や人の気配、街のリズムまで一緒に味わう特別な時間です。次の旅の計画が、この記事で少しでも鮮明になることを願いながら、東海・北陸の“おいしい旅”へご案内します。
《目 次》
- 東海・北陸エリアの“B級グルメの魅力”とは?
- 旅先で味わう、東海・北陸“傑作B級グルメ10選”
2-①名古屋(愛知県)|濃厚味噌の香りが一口目から攻めてくる「味噌カツ」
2-②名古屋(愛知県)|太麺に絡むスパイシーソースがクセになる「名古屋あんかけスパ」
2-③静岡(静岡県)|だし粉の香りがふわりと広がる“町の味”「静岡おでん」
2-④富士宮(静岡県)|強いコシと香ばしいラード香がやみつきの「富士宮やきそば」
2-⑤高山(岐阜県)|焼きたての香りが旅人を立ち止まらせる「飛騨牛串焼き」
2-⑥伊勢(三重県)|太くやわらかい麺が身体に染みる“素朴な一杯”「伊勢うどん」
2-⑦四日市(三重県)|濃厚ニンニクソースと肉の旨みが押し寄せる「四日市とんてき」
2-⑧金沢(石川県)|濃厚ルーと千切りキャベツの相性が抜群「金沢カレー」
2-⑨福井(福井県)|辛味大根の刺激が爽快に広がる「越前おろしそば」
2-⑩富山(富山県)|パンチのある黒スープが忘れられない「富山ブラックラーメン」 - “ご当地B級グルメ”をもっと楽しむ旅のコツ
- 東海・北陸の旅を静かに支えてくれる“宿”
- まとめ:東海・北陸の“静かな奥行き”を味わう旅へ
1. 東海・北陸エリアの“B級グルメの魅力”とは?
東海・北陸エリアは、旅人にとって“食と風景のギャップ”がとても面白い地域です。
海沿いを走ると潮の香りが漂い、すこし内陸へ入ると一気に山の景色が広がる。この“短い距離で空気が変わる感覚”が、旅をしている実感を強くしてくれます。そして、その変化がそのまま食文化の振れ幅にもつながっています。
このエリアのB級グルメは、派手さよりも“じわじわ美味しさが沁みてくる”タイプが多いのが特徴です。宿場町の素朴な一皿、港町で愛される家庭的な味、商店街で長く親しまれてきたローカルフード──。どれも“その土地で暮らす人が普段から食べているもの”だからこそ、旅先でふと口にするとホッと心が落ち着くような感覚があります。
東海・北陸は、昔から旅人の往来が多い地域でもあり、土地ごとに食の成り立ちが異なります。山間部の冷涼な気候から生まれた料理もあれば、城下町の商い文化が育ててきた味、漁港の暮らしの中から自然と形づくられてきたものもあります。「誰が食べてもどこか懐かしい」と感じる料理が多いのは、こうした歴史の積み重ねがあるからかもしれません。
また、東海・北陸は“旅のスタイルを選ばない地域”でもあります。
歴史ある城下町を歩きながら軽いものをつまんでもいいし、温泉街でゆっくりしたあとに地元の味を探しに出てもいい。車旅と相性の良いエリアでもあり、海沿い、山沿い、小さな町の商店街──どこを走ってもその町に根付いた食と出会えます。
こうした“味と風景がリンクする感覚”が、このエリアのB級グルメの魅力です。
料理を通じて、町のリズムや人の暮らしがほんの少し伝わってくる。それが旅心をくすぐり、次の町にも足を伸ばしたくなる。そんな“旅の余白”を作ってくれる一皿が多いのが、東海・北陸の面白いところです。本シリーズ第1~4弾を読んできた方なら、今回のエリアがこれまでとはまた違う“静かな深み”を感じさせてくれることに気づくはずです。五感がふっとゆるむような素朴な味から、地域性が強く、何度も思い出したくなる一皿まで。このエリアならではの魅力を、ここからじっくり紹介していきます。
2. 旅先で味わう、東海・北陸“傑作B級グルメ10選”
<東海・北陸エリアの人気ご当地B級グルメ10選>
- 名古屋(愛知県)|濃厚味噌の香りが一口目から攻めてくる「味噌カツ」
- 名古屋(愛知県)|太麺に絡むスパイシーソースがクセになる「名古屋あんかけスパ」
- 静岡(静岡県)|だし粉の香りがふわりと広がる“町の味”「静岡おでん」
- 富士宮(静岡県)|強いコシと香ばしいラード香がやみつきの「富士宮やきそば」
- 高山(岐阜県)|焼きたての香りが旅人を立ち止まらせる「飛騨牛串焼き」
- 伊勢(三重県)|太くやわらかい麺が身体に染みる“素朴な一杯”「伊勢うどん」
- 四日市(三重県)|濃厚ニンニクソースと肉の旨みが押し寄せる「四日市とんてき」
- 金沢(石川県)|濃厚ルーと千切りキャベツの相性が抜群「金沢カレー」
- 福井(福井県)|辛味大根の刺激が爽快に広がる「越前おろしそば」
- 富山(富山県)|パンチのある黒スープが忘れられない「富山ブラックラーメン」
2-① 名古屋(愛知県)|濃厚味噌の香りが一口目から攻めてくる「味噌カツ」

名古屋を歩いていると、街の至るところから“味噌”の香りが漂ってきます。赤味噌文化が生活に自然に溶け込んでいる名古屋では、味噌を使った料理は日常そのもの。中でも「味噌カツ」は、旅人がまず“名古屋めしらしさ”を感じる一品です。
味噌カツの魅力は、濃厚なのにしつこさがないこと。衣のサクッとした香ばしさに、甘辛い味噌だれがほどよく絡み、重たそうに見えても食べ進めるほどに驚くほど軽い。とんかつのコクと味噌だれの奥行きが、舌の上で何層にも重なります。
名古屋の街は商業地も観光地も密集しているため、観光動線の中で無理なく味わえるのもポイントです。買い物の途中でも、散策の合間でも、ふらりと入った店で気軽に食べられる。こうした“アクセスの良さ”自体が名古屋めしの魅力の一つと言えます。
また、店ごとの個性がはっきり分かれるのも味噌カツの面白さ。味噌だれの甘さ、深さ、粘度、香り──。どの店も同じようで微妙に違い、食べ歩くたびに“味噌の奥深さ”が増していきます。旅人にとっては、一度食べただけで終わらせたくない“繰り返しの楽しさ”がある一皿です。
2-② 名古屋(愛知県)|太麺に絡むスパイシーソースがクセになる「名古屋あんかけスパ」

名古屋めしの中でも独特の存在感を放つのが「あんかけスパ」。旅人が初めて見ると、その太麺の迫力と濃厚そうな見た目に驚かされますが、実際に食べると、想像以上に優しくて心地よい一皿だと気づかされます。
特長は、山盛りの太麺に、スパイスの効いたとろみソースがしっかり絡むこと。胡椒やスパイスの刺激がありながら、どこか洋食店の懐かしさも感じられる味わいで、一口目のインパクトと、食べ進めるほどの安心感が両立しています。
名古屋の洋食文化は長く、あんかけスパはその“地元の味”として広く支持されています。市内の喫茶店や洋食屋には必ずといっていいほどメニューがあり、どの店も「うちのあんかけスパはちょっと違う」と言わんばかりのこだわりを見せます。ソースの辛さ、濃度、香り、麺の太さや茹で加減など、同じメニューでも印象が驚くほど変わるのが魅力です。
食べた後も重くなりにくいため、観光途中のランチとしても優秀。名古屋めしの“新しい扉”を開いてくれる存在で、味噌文化とはまた違う名古屋の一面を感じられます。
2-③ 静岡(静岡県)|だし粉の香りがふわりと広がる“町の味”「静岡おでん」

「静岡おでん」は、見た瞬間に“他のおでんとは違う”ことがわかる一皿です。黒はんぺんや牛すじが入った濃い色のつゆ、串に刺さった具材、だし粉をかけていただく独特のスタイル──。シンプルながら強い個性を持つ、まさに“静岡の生活文化”そのものの料理です。
店によっては、カウンター越しに湯気が立ちのぼり、地元の常連さんがゆったり語らう光景が広がっています。そんな日常の空気が、静岡おでんの味わいをより深く感じさせます。観光地の食事というより、“地元に入り込む体験”に近いのが魅力です。

特に黒はんぺんは、噛むほどにだしの旨みがにじみ出る静岡独自の素材。魚の味がしっかり感じられ、だし粉を振ると香りの輪郭がさらに際立ちます。甘すぎず、しょっぱすぎず、身体にすっと馴染む優しい味わいは、旅の途中にほっと一息つきたいときにぴったりです。
静岡駅周辺や商店街、ローカル市場など、立ち寄れるスポットが多く、旅のちょっとした隙間時間でも味わいやすい。静岡の日常に触れたい人にこそおすすめしたい一皿です。
2-④ 富士宮(静岡県)|強いコシと香ばしいラード香がやみつきの「富士宮やきそば」

「富士宮やきそば」は、全国のご当地グルメの中でも“完成度の高さ”で知られる存在です。特徴的なのは、その圧倒的なコシ。専用麺を使うことで、炒めても伸びにくく、噛むたびにしっかりとした食感が生まれます。
さらに、この料理を語るうえで外せないのが、富士宮やきそばが 「ご当地グルメでまちおこしの祭典・B-1グランプリ」で上位常連だったこと。
観光客が「一度は食べてみたい」と思う理由のひとつは、このイベントで全国的な存在感を獲得したからでもあります。ただのご当地焼きそばにとどまらず、“地域の看板メニュー”として全国に広まった背景があるのです。
ラードで炒めた麺は香ばしく、ダシ粉の旨みとキャベツの甘さが重なると、コシの強さがさらに際立ちます。噛むたびに食感・香り・旨みがリズムのように口の中で重なり、最後まで飽きずに食べ進められる仕上がりです。
富士宮市内には専門店や屋台風のお店も多く、歩きながら食べるのにもぴったり。富士山の麓というロケーションもあって、青空の下で食べればさらに味わいが深まります。
2-⑤ 高山(岐阜県)|焼きたての香りが旅人を立ち止まらせる「飛騨牛串焼き」

飛騨高山を歩いていると、古い町並みの中に漂う“焼き肉の香り”に自然と足が向いてしまいます。「飛騨牛串焼き」は、そんな高山の散策風景の一部になっているほど、旅人に人気のB級グルメです。
魅力は、焼きたてをその場で頬張る“ライブ感”。注文が入るたびに炭火の上で焼かれ、脂がじゅわっと滴り落ちる音が聞こえてくると、誰もが立ち止まらずにはいられません。ひと口かじれば、上質な脂がすっと溶け、濃厚なのに嫌な重さが残らない。短時間で最高の“肉体験”が味わえます。

高山は観光動線がコンパクトで、散策しながら食べ歩きできる絶好の街。古い町並みや朝市を歩きつつ、気になる店で串を買って一休みする。その“のんびりしたテンポ”も含めて、飛騨牛串焼きは旅を豊かにしてくれる存在です。
店ごとにタレや塩のバランスが違うため、食べ比べも楽しめます。肉の旨みをしっかり楽しみたい旅人には、ぜひ試してほしい一品です。
2-⑥ 伊勢(三重県)|太くやわらかい麺が身体に染みる“素朴な一杯”「伊勢うどん」

「伊勢うどん」は、初めて見た人が戸惑うほど“独特なうどん”です。ぷるんと太く、驚くほどやわらかい麺に、真っ黒なタレが少量添えられている──その見た目だけで、一般的なうどんのイメージとはまるで異なります。しかし、ひと口食べればその印象が一変します。
麺はやわらかいのに、噛むともちっと反発し、表面のとろりとした舌触りが心地よい。見た目よりもずっと軽く、身体の中にすっと入っていく“優しさ”があります。伊勢うどんは、旅の疲れが溜まっているときほど美味しく感じられる、そんな温度感を持った一杯です。タレは濃い色ながら、実際にはしょっぱさは控えめ。だしの旨みと醤油の深さだけを上手に引き出していて、麺と合わせると驚くほど味に丸みが出ます。伊勢神宮の参拝客が長年親しんできた背景も納得できます。
伊勢の街は、歴史と自然が調和する独特の空気があり、散策と伊勢うどんの相性は抜群です。参道を歩き疲れたあと、ふらりと店に入り、湯気の立つ丼を前にすると、心がふっと緩んでいく。旅先での“ほっとする瞬間”を求めている人に、とてもおすすめしたい一杯です。
2-⑦ 四日市(三重県)|濃厚ニンニクソースと肉の旨みが押し寄せる「四日市とんてき」

「四日市とんてき」は、見た目だけで圧倒的な存在感を放つ三重のB級グルメです。厚めの豚肉を鉄板で豪快に焼き上げ、濃厚なニンニクソースを絡めた一皿は、初めて見る人が思わず息を飲むほどの迫力があります。
ひと口目のインパクトは強く、濃厚な味わいが一気に押し寄せます。しかし、驚くのはそのあと。ニンニクソースの深みとキレ、豚肉の脂の甘さがバランスよく混ざり合い、想像以上に後味が軽いのです。食べ進めるほど“もっと食べたい”と思わせる中毒性があり、まさにB級グルメの王道を行く存在です。
四日市市内には老舗店から大衆食堂まで幅広く揃い、どの店も味付けに個性があります。ソースの甘さや濃度、焼き加減、肉の厚みなどは店によってまったく違い、食べ比べをすると奥深さがよくわかります。地元の人が「四日市にきたら一度は食べてほしい」と胸を張る理由がそこにあります。
旅人にとってもうれしいのは、四日市とんてきを楽しめる店が駅近にも多いこと。移動の前後や観光の合間に立ち寄りやすく、旅のスケジュールに自然と組み込めるのも魅力です。しっかり食べたい日の昼食としても、旅の締めの一皿としても満足度の高い一品です。
2-⑧ 金沢(石川県)|濃厚ルーと千切りキャベツの相性が抜群「金沢カレー」

「金沢カレー」は、ひと目見ただけで“ソレ”とわかる個性派のご当地グルメです。濃厚な黒めのルー、千切りキャベツ、ステンレス皿、そして付け合わせのカツ。この独特のスタイルが、金沢の町並みと妙にしっくり馴染みます。
ルーは粘度が高く、スプーンですくうとじんわりと重さを感じるほど。濃い味のように思えるのに、実際に食べると辛さよりもコクが前に出て、後味に丸みがあります。カツと一緒に食べると、衣にルーがまとわりつき、ひと口の満足度が一気に高まります。
金沢の街は、古い町並みと近代的な美術館が共存する独特の風情があります。そんな街を散策していると、不思議と金沢カレーの“黒さ・濃さ”が気分にマッチしていきます。観光客でも入りやすいチェーン店から、ローカル色の強い名店まで幅広く揃っており、どこへ入っても外れが少ない安心感があります。
また、金沢カレーは地元の学生やビジネスマンにも愛されており、市民の“日常の味”として根付いています。観光地ではなく普段使いの店で食べると、また違った美味しさが見えてくるはずです。
2-⑨ 福井(福井県)|辛味大根の刺激が爽快に広がる「越前おろしそば」

「越前おろしそば」は、福井県民にとって身近な存在であり、旅人にとっては“福井らしさ”を実感できる一杯です。特徴は、なんといっても辛味大根。たっぷりの大根おろしがそばに絡み、ひと口目から爽快な刺激が広がります。
そば自体は太めで香りが強く、噛むほどに風味が立ち上がります。辛味大根の清涼感がその力強いそばと合わさることで、軽さとボリューム感の両方を楽しめるのが魅力です。食べ終えたあとに喉がすっと軽くなるような感覚があり、福井の落ち着いた空気とよく馴染む味わいです。
越前おろしそばは、観光地でもローカル食堂でも味わえますが、どの店も“そばの強さと大根の辛味”のバランスに個性があります。辛味の強い大根を使う店、つゆの甘さを少し強めにして調和をとる店など、食べ比べの楽しさも十分。
福井は自然豊かで、のんびりした時間が流れる地域です。そんな土地で食べるおろしそばは、気持ちを整えてくれるような優しさがあります。旅の途中にふらりと立ち寄って食べたい一杯です。
2-⑩ 富山(富山県)|パンチのある黒スープが忘れられない「富山ブラックラーメン」

「富山ブラックラーメン」は、その名の通り、初めて見る人が驚くほど“真っ黒なスープ”が特徴のご当地ラーメンです。見た目のインパクトは圧倒的ですが、実際に食べると、しょっぱさの中に旨みと香りがしっかり詰まっていることに驚かされます。
富山ブラックは、濃い醤油味のスープに太めの麺が組み合わされ、噛むほどに小麦の香りが引き立ちます。スープに浮かぶ背脂や香ばしい香りが合わさることで、重厚なのにクセになる味わいが生まれます。ひと口目で強い印象を残し、食べ進めるほどに旨みの奥行きを感じる、独特のバランスが魅力です。

富山市内には専門店が多く、店ごとに塩味の強さやスープの深さ、麺の硬さが異なります。旅行者にとっては“食べ比べ”がしやすいジャンルで、好みの一杯を探す楽しさがあります。街の中心部からもアクセスがよく、観光の合間に立ち寄りやすいのもポイントです。
富山の落ち着いた空気の中で味わうブラックラーメンは、旅の印象を強く残してくれる一杯。富山を訪れたなら、ぜひ試してほしい“記憶に残るラーメン”です。
3. “ご当地B級グルメ”をもっと楽しむ旅のコツ
東海・北陸エリアを旅していると、その土地ならではの空気が、料理をおいしくする“ひそかな調味料”だと感じる瞬間があります。同じ料理でも、食べる場所や時間帯、旅の流れの中での“気持ちの置きどころ”によって、味の印象が大きく変わっていくものです。
たとえば東海エリア。にぎやかな通りや商店街を歩いていると、すっと漂ってくる香ばしい匂いに自然と足が止まることがあります。店の前に並ぶ人の空気感や、店内から聞こえてくる軽快な調理音が、旅人の好奇心をゆっくりと刺激します。カウンター席に座れば、地元の人の軽い会話が耳に入り、「この街で暮らしたら、こういう味が日常になるのか」と、ほんの少し未来を想像したくなる。そんな“旅の余韻づくり”のような瞬間が、このエリアには多くあります。
北陸側では、街の静けさや落ち着いた空気が、B級グルメをより印象的にしてくれます。石川や福井、富山は、海・山・城下町という異なる表情を持ち、どこを歩いてもゆったりとした時間が流れています。観光の途中、ふと入った店で出会った一皿が、気持ちを落ち着かせてくれることも多い。優しい味わいの麺類や、素朴だけれど奥深い一皿を口にした瞬間、“旅の流れが整っていく感覚”があります。
そして、このエリアを歩いていると“軽く食べられるグルメ”が多いことにも気づきます。手早く食べられる麺類、散策しながら楽しめる串もの、気軽な洋食、地元の市場グルメなど、旅人にとって“負担が少ない食事”が多いのは大きな魅力です。観光の途中で立ち寄っても、夕食に響くほど重たくならない。だからこそ、1日で2〜3カ所のグルメスポットを巡る“食のはしご旅”も組み立てやすく、東海・北陸は食で旅のテンポを作りやすい地域とも言えます。
また、このエリア特有の楽しみ方として、“散策と食べ歩き”があります。古い町並みを歩きながら、気になった店にふらりと入る。市場で蒸し立てのものを頬張るなど、こうした素朴な体験そのものが旅の記憶に強く残り、料理以上の満足感をもたらします。旅をもっと楽しむコツは、プランを固めすぎず、“鼻が導くまま、足が向くまま”に味と出会うことかもしれません。
このエリアのB級グルメは、その“偶然の出会い”こそがおいしさの一部なのだと感じさせてくれます。
4. 東海・北陸の旅を静かに支えてくれる“宿”
東海・北陸エリアは、海・山・温泉地・城下町がコンパクトにまとまり、旅の動線が組みやすい地域です。そのなかで、旅の“休む場所”が心地よいと、一日の満足度が大きく変わります。
株式会社エムアンドエムサービスでは、一般のお客様にもご利用いただける経営施設3施設を含めて運営受託している施設をこのエリアに多数保有しております。いずれも喧騒から一歩離れた場所にありながら、観光地やグルメスポットへも足を伸ばしやすい立地にあります。日々の疲れを静かに癒してくれる宿が揃っているのが魅力です。

愛知・蒲郡にある サンヒルズ三河湾 は、海を望む穏やかなロケーションが心を軽くしてくれる場所。名古屋めしや三河湾の海の幸を巡ったあと、個室露天風呂でゆっくりと体を休めるという贅沢なひと時はいかがでしょうか。

三重には個性豊かな施設が多く、里創人倶楽部 伊勢志摩 や 里創人 熊野倶楽部 など、旅のテーマに合わせて選びやすいラインナップ。伊勢・鳥羽の観光や世界遺産の熊野観光を満喫しつつ、食と自然を一緒に楽しむ旅の拠点にぴったりです。

北陸側では、石川県の ちりはま ホテルゆ華、福井県の オーシャンリゾートホテル&スパ うみんぴあ が、海沿いの穏やかな雰囲気と相性抜群。美しい夕景の中で一日の疲れを癒やし、翌朝の散策を心地よくスタートできます。
さらに富山には グリーンビュー立山 や 有峰ハウス といった山側の施設もあり、立山や黒部峡谷など自然豊かな観光地を巡る際に便利な宿です。
東海・北陸の多彩な食文化を楽しみつつ、海・山・街の魅力をまるごと味わう旅を組み立てる際には、是非ご検討ください。このエリアの宿も、当社が運営している“お宿ねっと”に掲載しております。また各宿の詳細情報はそれぞれの公式サイトを参考にしてください。
【東海エリアの宿】
伊勢志摩の波音 海楼
https://www.namine-kairo.jp
サンヒルズ三河湾
https://www.sunhills-mikawawan.com
里創人 熊野倶楽部
https://kumanoclub.jp
里創人倶楽部 伊勢志摩
https://resortclub-iseshima.jp
【北陸エリアの宿】
有峰ハウス
https://oyadonet.com/arimine/
オーシャンリゾートホテル&スパ うみんぴあ
https://hotel-uminpia.jp
グリーンビュー立山
https://www.greenview-t.com
ちりはま ホテルゆ華
https://hotel-yubana.com
5. まとめ:東海・北陸の“静かな奥行き”を味わう旅へ
東海・北陸のB級グルメは、派手なイメージこそ少ないものの、旅の記憶に残る味が数多くあります。太麺の迫力ある洋食、素朴で温かい家庭的な味、香りで食欲を刺激する肉料理、地域に根付いた麺文化──。どの料理にも、その土地の暮らしや空気が静かに宿り、食べ進めるほどに“東海・北陸の深さ”が感じられます。
このエリアは、広すぎず狭すぎず、海と山の距離が近いため、旅のシーンが豊富です。城下町の散策、海沿いのドライブ、山あいの温泉地、歴史ある参道。旅のテンポや気分によって食べたいものが変わっても、受け止めてくれるグルメが必ずどこかにあります。
本シリーズの第1弾〜第4弾で、北国の旨み、関東の多様性、近畿の気軽さ、九州の勢いを旅してきた方なら、今回の東海・北陸編が“静かだけれど奥行きのある美味しさ”を持つことに気づいていただけるはずです。
一皿ごとに土地の気配を宿し、旅の感情をやさしく整えてくれるような味。それがこの地域のB級グルメの魅力です。次の旅の計画を立てるとき、ふとこの記事を思い出し、どこか一つでも「行ってみたい」と思える町や一皿が見つかれば嬉しく思います。
ゆっくり味わい、静かに染みていく、このエリアならではの旅をぜひ楽しんでください。